コラム

ほぼ週刊!スーパーマーケットツウシンVol.6

こんにちは!ゴトウチスーパードットコム編集長の谷尻純子です。

はじめて?今週も??いずれにせよ、スーパーマーケットツウシンを見に来ていただきありがとうございます!

このツウシンでは、“ほぼ週刊”で気になるスーパーの情報をお届け。今回は「買物だけじゃない、コミュニティとしても機能するスーパー」を2つ紹介します!


今週の気になるスーパー


岐阜県「駿河屋」

株式会社駿河屋魚一が運営する「駿河屋」は、飛騨高山のエリアに5店舗を展開する街のローカルスーパー。

昭和8年に「魚一商店」として事業を始めてから、看板部門の鮮魚をはじめ、品質・鮮度のいい商品を魅力に、地域の人々の食卓を豊かにしてきました。

そんな同社が、地域コミュニティの再構築施策として、2016年にオープンしたのが「Fresh Lab. Takayama」です。

同社は「より豊かな食卓と一歩先のくらしをみんなでつくる場(ラボ)」といったコンセプトのもと、岐阜県高山市にあるエブリ東山店の一角にコミュニティスペースをつくりました。

出典:Fresh Lab. Takayama公式サイトより

コンクリートの床とタイルの壁でつくられた空間は、スッキリとして現代的。まさしく“ラボ”といった様相です。

ただし決して冷たい印象ではなく、ところどころに使用される木材や、しっかり入ってくる自然光により、温かみがありおしゃれなカフェのようなイメージでもあります。

このラボの一つの目玉が、スペース奥にドンと構えている豊富な調理機器を揃えた大きなキッチン。

ここでは、買ったばかりのフレッシュな食材を料理してみんなで食べたり、地域のお母さんたちを講師に招いて料理教室を開催し、地元の味を地域の方々が教わったりするそう。

またもう一つの目玉として注目したいのが、3Dプリンタやレーザーカッターといった、デジタル工作機器を備えた工房です。

毎日使うカトラリーや家具、趣味で使う雑貨などが作れ、夏休みには地域の子ども向けに「ゴム鉄砲ワークショップ」なども行われます。

出典:Fresh Lab. Takayama公式サイトより(右側の赤い機器が工作機器)

このように店舗に併設されたコミュニティスペースは、地域の人々が集うハブとなり、心の交流も生み出しているのです。


東京都「福島屋」

東京都にある福島屋もまた、地域コミュニティの機能を果たしていると感じるスーパーです。

同スーパーには“食のトレジャーハンター”と呼ばれる、業界では有名な二代目社長・福島徹(現会長)さんのもと、全国各地からこだわって仕入れた、おいしいと安心を両立する商品がたくさん。

いわゆる大手ブランドの商品はあまり見かけず、ご当地の逸品のような、原材料も作り方も一般的な商品とは一線を画すような品が揃っています。

福島屋で購入した品。どれもシンプルな味付けだけど、とってもおいしい

そんな食の魅力を存分に味わえる福島屋では、食の知識を深め、楽しめるようなさまざまな企画を実施。

その一つとして参加希望者が後を絶たないのが、「美味しい時間」と名づけられた食の講座です。「新米講座」「おせち講座」など、毎回一つのテーマを掲げてそのテーマについて学び、実際に試してみる時間を設けているのです。

集まるのは地元住民が中心。参加の動機として、プロの方に料理や食材のイロハを教わる面白さはもちろんあるのだと思いますが、それだけではなく、これまで交流のなかった地元の人と出会えるのも、この場が支持されている理由なのではないかな、と個人的には思っています。

一般的な料理教師は、参加者の住むエリアはさまざま。基本的には近距離圏の方々が多いかもしれませんが、電車に乗って訪れ、参加する人も多いでしょう。

ですがスーパーが開催する料理教室だと、やはり参加するのは普段から頻繁にそのスーパーを利用する人が中心になるでしょう。

福島屋の料理教室は、食の知識だけでなく、地域の人が気軽に集える場もまた提供しているのではないかなと思います。

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スーパーといえば“物を買えること”ばかりが注目されていますが、例えば地域からスーパーがなくなり、すべてネットショッピングに置き換わったとき、私たちが失うのは「実店舗で買い物ができない」ということだけでしょうか?

私は、そうは思いません。

現代の忙しい人たちにとって、スーパーは「買う場」でしかないかもしれませんが、昔のスーパーには「コミュニティとしての機能」がありました。

そこに行けば、知り合いに会える。少しおしゃべりをする。ちょっとおすそ分けをする。そんな風にして、心を通わせる場でもあったのでしょう。

核家族化かつ夫婦共働きが増えたいま、時間がないなかでの買い物ではそんな時間も惜しいかもしれない。

でも、やっぱりスーパーにはこれからも街の「憩いの場」であってほしいなと、人間関係が希薄だといわれるこの時代だからこそ思うわけです。

少し時間のある日の買い物や、休日親子で何かに参加したいとき、こんな風にスーパーという場が開かれていれば、また違ったスーパーの楽しみ方が体験できますよね。


※本記事で紹介している料理教室などの企画は、現在新型コロナの影響で中止になっている可能性があります。詳しくは各企業の公式サイトなどをご確認くださいね。


今週のひとこと

明日から7月!今年も暑い夏がやってきました。

みなさん、今年の夏休みの予定はもう立てましたか?お子さんの夏休みが短かったり、新型コロナ感染への不安だったりで、いつものような帰省・旅行の計画が立てられず、モヤモヤした気持ちの人も多いかもしれません。

都道府県を越えた旅行に行く・行かないはまだまだ判断が難しいところではありますが、7月から出張や旅行で国内を移動する予定があるという声もチラホラ。

ゴトウチスーパードットコムでも、「そろそろ旅行で訪れたいご当地スーパーを紹介していいものか、いや、でも……」とずっと悩んでいます。

もう少しだけ様子を見ながら、また各地のスーパーをまわったり、スーパー訪問記を公開したりし始められたらなぁ。

「お客さんも従業員さんも不安なく、楽しい買い物ができる」。そんな日が早く来ますように。

ゴトウチスーパードットコム編集長 谷尻純子